神野瀬発電所の右側の谷川に沿って約2.3Km行くと、滝の音が聞こえてきます。
高さが約10mで、2筋の滝が音を立て落水しています。文政年間より、たたら製鉄で暮らす集落があり、そこに悲恋の伝説「鳴ヶ滝物語」が伝わっています。
むかし、この谷に"おなる"という大変器量の良い娘がいました。いつの頃か、夜こっそり出てゆき、夜遅く夜露にしっとり濡れて帰ってくるようになりました。不審に思った父親が後をついていくと、岸辺で"おなる"が男と逢っているので、お父さんは思わず声をかけました。男は、「姿を見られたからには、もうここには棲めない」と大蛇に変わり、雷光と共に雷鳴がひびく中、川の渕に消えていきました。それを悲しんだ"おなる"も、やがてこの滝の渕に身を投げたのでした。
この男は龍神だったのです。その後、"おなる"をしのんで「鳴ヶ滝」と呼ぶようになったと伝えられています。