(1).エンジン排気量の選定に関して
一般的に各メーカーで製作されている刈払機エンジンの排気量は概略、20ccクラス、23ccクラス、25ccクラス、35cc〜40ccクラスに区分けする事ができます。この内35〜40ccクラスの大型機種は山林等などで使用される特殊物で、流通台数は少なく、一般的な機種は20、23、25ccクラスとなります。そして実際の排気量の数字としては20、23、25cc前後の数字となります。20ccクラスは重量も軽く、自宅の庭周辺の草を刈る程度の用途であれば、価格も安く最適と言えます。25〜26cc程度の機種になりますと、かなりパワーが出て、かと言って重量もさほどは重くはない事から、職業として長時間、草刈作業を実施される場合の選択対象となります。その中間の23ccクラスは前の2つのクラスの中間の用途となりますが、職業でなく個人使用で、少しパワーを必要とされる場合などの選択肢と言えます。排気量の選定に際しては、カッター部分に何を使用するかを合わせて考える必要があり、ビニールカッター(トリマーヘッドと呼ばれる場合もある)を使用する場合は23cc以上のパワーがあった方が良いと言えます。またチップソーの刃の大きさにおいては255mm径を使用するのであればやはり25cc以上が良く、20ccクラスであれば230mm径が最適と言えます。これらの判断基準は肩掛け式刈払機の場合でありまして、背負い式の場合はフレキ部分の負荷があり、能力を1ランク程度落として評価した方が良いと思います。
(2).刈払機の形式に関して
形式として、一番多いのは肩掛け式です。この肩掛け式をさらに分けるとすれば両手ハンドル方式とループハンドル方式の2種類が一般的です。肩掛け式に対する種類としては、背負い式があります。そして背負い式の場合はループハンドルの使用が一般的と言えます。背負い式の場合は構造的にエンジン部分と刈り刃部分をつなぐためのフレキ部分が必要となり、この事がエンジン出力の低下や、製造コストの増加の一因となります。しかしながら、エンジン本体と刈り刃部分を分ける事により、草刈り作業をする際は刈り刃部分だけを横振り操作することとなり、稼動部重量が軽く、斜面等などでの変形した動きによる作業がやり易くなるという特徴があります。
(3).刈り刃の選定に関して
刈り刃の種類を分類をする場合、一つの方法として刃の素材から分類する事が出来ます。メインはやはり鉄板製のカッターであります。その他、丸や四角などのビニールひもを素材としたビニールカッター、そしてプラスチック製刈り刃のプラスチックカッター等があります。これらの刈り刃のうちどれを選択するかの判断基準は、安全性、経済性と性能などの面に拠る事となります。そして選択する際の具体的な判断理由は草刈する場所にある石やコンクリートなどの硬い物に刃を当てる可能性がどの程度あるかによります。石やコンクリートが多い場所はビニールカッターなどが最適で、石やコンクリートに当る事を気にしないで草刈する事が可能であります。しかしながらその分、草を刈る作業スピードは低くなり、また小石を飛ばしますので、作業者は網カバー等を顔部に付ける必要が出てきます。広い面積を刈る場合はやはり鉄板製のカッターが好都合と言えます。最近は鉄板製カッターと言ったら刃の部分に鋼製チップを取り付けたチップソーが主流となってきましたが、チップのない鉄板製カッターのうち、8枚刃は現在でも良く使われています。その他、刃の数によって2枚刃、3枚刃、4枚刃、などがありますが、製造コストが高くつく割には性能の向上が見出せないためか、現在、3枚刃を入手する事は非常に難しいと思われます。私も、店頭では販売されていなかった3枚刃を入手したくて、いろいろ探しました。最終的には隣の農家の方が昔購入されて持たれていましたので1枚分けてもらいました。その刈り刃を見て思ったのですが、やはり奇数の3枚刃だと見た目は非常にきれいではありますが製造するのが少々面倒そうであります。
(4).キャブレターの選定に関して
キャブレターの種類としては、ダイヤフラム式とフロート式があります。ダイヤフラム式はゴム膜のポンピング作動により燃料を送り込むタイプで、フロート式は燃料タンクの位置の高さ圧力を利用して燃料を送り込むタイプです。私の使用経験から述べますと、ダイヤフラム式はダイヤフラム膜に寿命があるのは欠点ですが、エンジン部構造がコンパクトになる事、エンジン運転位置の制約をあまり受けないなどの優位性により一般的に使われている事になっていると思われます。一方、フロート式はゴム製のダイヤフラムを使用しないので、耐久性はあると思われますが、ダイヤフラム式に比較して、構造が大きくなってしまい、またエンジンを傾斜させたりすると、燃料が途切れてエンジンが止まるデメリットがあります。
(5).レバーの選択に関して
レバーは固定レバーと可変レバーがあります。固定レバーはエンジン回転速度を設定(固定)した状態で使用する方式で草を刈る際には指はフリーとなります。可変レバー方式はエンジン回転速度をつねに指で設定維持するために、草を刈る際には常時レバーを押さえておく必要があります。可変レバー方式は指先が疲れる為か、ユーザーに嫌われるケースがありますが、私個人としては、背負い式により、ノリ面等で細かな動きを刈り刃部分にさせながら使用する際、刃の位置に合わせて細かく回転数の調整をする方が刈りやすいので、可変レバー方式が使いやすいと思います。また万一、ノリ面で転んだりした場合、レバーから手が離れると自動的にエンジンの回転数が落ちるので安心でもあります。
(6).補助具の取り付けに関して
補助具として、私が使用している物に、チップソーを使用する際(ビニールカッターの場合は必要としません)の巻き草をカットさせるための巻き草カッターがあります。これを取り付けても完全ではありませんが、比較的巻き付きにくくはなります。形状的に何種類か販売されていて、いろいろ試しております。その他、刈った草を寄せる(さらう)部品も販売されています。田んぼ間のノリ面において刈った草を下の田んぼに落としたくない場合などには重宝しますが、取り付ける事により刈り刃部分が重たくなったり、草に絡みやすくなったりしますので、一長一短です。
(7).安全装備に関して
刈払機はかなり振動しますので、長時間の作業には防振手袋が必要となります。軍手にゴムの玉を取り付けた安価な手袋も販売されていますので、軍手代わりに使用した方が体の為に良いと思います。また本格的な防振手袋も有りますので、高級品を望まれる方にお勧めです。安全長靴は非常に重要だと思います。刈払機の危険度は非常に高く、近くの作業者だけでなく、自分自身に対しても凶器であります。自分自身の場合は足の部分が一番危険でありまして、草刈作業する時の長靴はぜひ安全長靴にされる事をお勧めします。ちなみに私は、少々金額がはりますが、ハスクバーナー社がチェンソー作業も想定して販売している長靴を必ず履くようにしております。またナイロンカッターを使用する際には、小石が飛び散りますので、顔面には網カバーを取り付ける事をお勧めします。
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